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「田中栞の一日製本教室」レポート [製本・製本キット・道具]

先週「豆本虎の穴に行って修行してくる」と予告しましたとおり
去る、12月13日

田中栞さんの一日製本ワークショップに参加してまいりました~\(^◇^)/

朝10:00からなんと夜の9:30まで!!(ё_ё;)
普通の製本教室
なら数カ月から半年くらいかける製本の基礎を
一通り、1日で学ぶことができる大変お得なワークショップです

カリキュラムの一端をお伝えしますと
[ひらめき]1折中綴じ:凝ったかがり糸を使っておしゃれに
[ひらめき]2折中綴じ:1折を
ミシンのように縫って、くるりとひっくり返すと2折に!
        これは汎用性が高そう
[ひらめき]洋 本:本かがり角背上製本。いずれは作りたい厚みのある本のために
        いままで謎だった「花布が本文から離れる」現象は
        市販の堅い花布を使っていたためだと判明。また
        溝をつける本当の意味(本文を抱き込むように)も分かり
        目からうろこがばらばら落ちました
        鬼門の化粧断ちもどうやらコツがつかめたような気がする!

[ひらめき]和装本:四つ目綴じ。
        以前和装本のキットで挫折した
こよりを使った仮綴じの実演を
        見ることができました
[ひらめき]折 本:アコーディオンのようにぱたぱたと紙を折って造る本
        簡単なようですが、一人でやると曲がる!ずれる!曲がる!
        しかも前小口が折り目なので化粧断ちで修正出来ないのです。
        今回、型紙を使っておる方法を教わったのでさっそくトライしてみます

[ひらめき]おしながき製本:一枚の紙を折って切り込みを入れるだけでできる
        正式名称はわかりませんが、これもまたやってみたい
[ひらめき]折り紙豆本:折り紙を折っていくだけでちゃんと本が出来る!
[ひらめき]消しゴムハンコ:希望者のみ
        仕上げを先生が手伝ってくださるのでとてもきれいに出来ました

一番の眼目は、作業の合間に先生が話してくださる
本にまつわるお話、出版業界、古書業界の裏話など
とにかく、12時間があっという間でした!

こちらが私が作った消しゴムハンコの作品。なんと四版四色刷り
(鉛筆でサインが入っていますが本名なのでぼかしました(^^ゞ)
一日製本教室消しゴムはんこ1.jpg

ヴィトゲンシュタインの本で見て以来気に入っているだまし絵です
見る方向によってうさぎにもアヒルにも見える絵、のはずなのに
画力がないのでうさぎにもアヒルにも見えません┐(´∀‘)┌ハッハ~
それも含めてとっても気に入っています。落款印は先生があっというまに
作ってくださいました(*^_^*)

ご一緒した方が作られたクローバーのハンコもとてもかわいかったです。

一日製本教室和装本.JPG

和装本(天地14センチ)。表紙と題箋の取り合わせが気に入っています。
和装本は意外にも洋本より手軽にできました。
以前市販のキットでさんざん苦労したのがうそのよう。
にもかかわらず耐久性に優れたものだということがわかりました。
豆本にしても味があるので、ぜひまたやってみたいです。

一日製本教室洋本.JPG

洋本(文庫本サイズ)。
「二日間は絶対あけちゃだめ!」と厳しく言われているので
まだ、溝に紐をかけたままです。
自分ひとりでやった時にはあんなに手こずった花布づくりが
不思議なほどするっと出来ました。芯にする素材のせいかなあ
撮影が終わったら急いでプレスに戻します(^^ゞ

豆本ではありますが、ある程度の期間、自分で製本にトライしてきて、
出来ないところ、分からないところがいくつか具体的になってきた
そういう、今の私にぴったりの内容でした。

****************************

本が売れないといわれて久しいですが、無理もないことだと思います。
単純に情報を得るだけならネットワーク上のデジタル情報のほうが
検索性も高いし、コストも安い。紙媒体にはないスピードと双方向性もあります。
そんな情報化社会のなかで、本【紙媒体+活字文化】が生き残るためには
装幀まで含めて一個の作品となっているような本
ものとして存在することに意味のある本が必要なのではないでしょうか。
そう考えれば、手製本や少部数の希少本などを作る人々とその愛好者たちは
紙媒体+活字文化の最後の砦とも言えるわけです。

そして豆本づくりは、「ものとしての本」の魅力に再会するとてもよいフィールド。
少なくとも私にとってはそういう出会いだったな……
10時過ぎの帰りの電車の中、朦朧とした頭でそんなことを考えました。


タグ:製本
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green_blue_sky

1日・・・まさに虎の穴(;^_^A アセアセ・・・
本を読む人が減り電子媒体を見る人が多くなりましたね。
豆本、がんばってください
by green_blue_sky (2009-12-15 07:58) 

ムク

電子媒体で本を読むのは苦手です^^;

by ムク (2009-12-15 08:12) 

雉虎堂

green_blue_sky様

ありがとうございます!(*^_^*)
今なら勝てそうな気がします(なにに?)
by 雉虎堂 (2009-12-15 09:51) 

雉虎堂

ムク様

私も、苦手です。加齢とともに動体視力が落ちて
スクロールする文字に目が付いていけなくて....(^^ゞ
そんなこんなで今回から当ブログはユニバーサルデザインで
文字を大きくいたしました(*^_^*)
by 雉虎堂 (2009-12-15 09:51) 

やよい

収穫の多い一日でしたね、お疲れ様でした。
苦労している事や疑問点を抱えての受講は 得るものも大きいでしょうね。
今後が楽しみです。
雉虎堂さんのブログ 文字が大きくなって喜んでいる一人です。
by やよい (2009-12-15 11:16) 

ナカムラ

栞さんは、製本のワークショップまでやられているんですね。本当に多彩ですね。栞さんが奇数号を受け持ち、偶数号を装丁家の大貫伸樹さんが受け持っている雑誌「本の手帳」の私は偶数号に本に関する薀蓄を書いています。2号がプラトン社、4号は転換期(1930年)の書物、6号は挿絵画家・竹中英太郎のデビュー、について書いています。8号はまだ発売されていませんが、竹中英太郎のデビュー当時に関して新資料もまじえての考察を行っています。
by ナカムラ (2009-12-15 12:16) 

雉虎堂

やよい様

ありがとうございます。ほんとうに楽しかったです。
今、忘れないうちに復習しないと!と思っているところです(*^_^*)
by 雉虎堂 (2009-12-15 12:42) 

雉虎堂

ナカムラ様

(ё_ё;)ええ~そうだったんですか!!

私の手元には、『本の手帳』5号と7号があります
「豆本女子」だったものですから……

今、急いで東京堂に電話して
2,4,6号取り置きしてもらいました(*^_^*)

なんだかわくわくしてきました♪
by 雉虎堂 (2009-12-15 12:57) 

Jami

消しゴムはんこかわいいですw
ウサギにもあひるにも見えますよ♪
by Jami (2009-12-15 18:33) 

雉虎堂

jami様

ありがとうございます(*^_^*)
心のキヨラカな人にだけ図像が見える
魔法のはんこです♪
by 雉虎堂 (2009-12-15 20:03) 

ウエユミ

お疲れさまでした。
記事を読みながら復習が出来ました☆
さっき、2日間我慢していた洋本を広げました。
「なるほど!」と「あれ?」が入り混じりました(笑)
まだまだ行く道は長そうです。
by ウエユミ (2009-12-15 22:46) 

雉虎堂

ウエユミ様

コメント見て私もいま広げてみました
うん、「なるほど!」と「あれ?」が入り混じりますね(^^ゞ
私の最大の「あれ?」は
クータの糊づけが甘かったらしくて筒になってないこと(T_T)
背の穴で「の」の字を書いてます(^^ゞ
ほんと、道は長いですね♪
by 雉虎堂 (2009-12-15 23:39) 

koume

可愛いー素敵ー!
こういうのを作れるって言うのは、器用なんでしょうねー。
(うらやましい…)
消しゴムはんこの絵柄が、とっても可愛いです^^
by koume (2009-12-16 00:43) 

雉虎堂

koume様

ありがとうございます
でも、これはかなり先生に
手伝っていただきました(^^ゞ
さてさて、一人で出来るかな~♪
by 雉虎堂 (2009-12-16 08:13) 

ナカムラ

雉虎堂様:そうだったんですね。「本の手帳」を取りおきお願いされたとの事、恐れ入ります。稚拙な文章ですが、どうぞ宜しくお願いします。

豆本も奥深いですよね。栞さんは蔵書票も作られるし、カバーのコレクションはするしで、凄いパワーですね。私は豆本は特別コレクションしているわけではありませんが、札幌で刊行された和田コーヒーの和田さんのマッチの箱入り豆本が好きで、入手しました。画家の谷川晃一さんの豆本画集、オリジナルシルク作品つきなんて豆本も好きな一冊です。あとはデビッッド・ホックニーの『ブルーギター』もお気に入り。でも、これは小さな本というだけで、豆本ではないかもしれませんが。
by ナカムラ (2009-12-16 10:39) 

田中栞

ナカムラさん、どうもこんにちは(って、ヒトのブログで……)。
『本の手帳』第8号、もうすぐですかね。楽しみにしています。

雉虎堂さんの熱心さには、頭が下がります。
お作りになる豆本も、すごーく面白くて楽しい作品ばかり。
特に内容が素晴らしい。ハマります。
作り方のコツ、要所をおさえていけば、作りは格段に進化します。

通常サイズの本の製本方法を基本にして、豆本を作りますが、
豆本は本が小さいので、まったく同じ方法・同じ材料で作ると、
ポテポテに太った、不格好な本になってしまいます。
そこで、「豆本として違和感のない仕上がり」にするには
いくつかテクニックがあります。
そのあたりを今後クリアしていけば、どんどん洗練された作品に
なっていくはずです。

「豆本フェスタ2」のスタッフとして働いていただく折に、
お会いする機会があれば
折に触れて伝授していくつもりですが、
お急ぎでしたら「1日豆本教室」のほうにご参加を。

豆本アーティスト希望の星・雉虎堂の新作に期待しています。
by 田中栞 (2009-12-16 14:35) 

marimo

すごいスパルタ教育を受けてこられたのですね!
消しゴムハンコ・・・うさぎにもアヒルにも見えます!
ちょいカモノハシ風でもありますが♡可愛く出来てますよ♪
最後の・・・本に対する思い・・・なるほどと思いました。
かつては読み伝え残すための必須アイテムだった太古の昔から
脈々と受け継がれてきたものは不滅ですが・・・
生活様式の変化に伴う変遷もまた歴史のひとつですものね。
希少価値としての分野を極めた本が今後増えて行くのかな。
by marimo (2009-12-16 21:50) 

ayafk

豆本とても素敵ですね♪
ハンコもちゃんとうさぎとアヒルに見えますよ~。
あ、田中栞さんって聞いたことあるような気がしてたら「古本屋の女房」の著者の方ですね!
あぁ~知ってました~(汗)
とても精力的に活動されてるんですねぇ。
私も背表紙ふぇちなんでどんなにネットが発達しても紙ベースの本というメディアはなくならないで欲しいと思ってます。

by ayafk (2009-12-16 22:02) 

高田美苗

わ、私も、以前、田中栞さんの製本ワークショップに参加しました。
それがきっかけで、近所のカルチャースクールのルリユールの教室にしばらく通いました。
また、時間とお金ができたら、通いたいと思っています。
by 高田美苗 (2009-12-16 23:52) 

雉虎堂

ナカムラ様

取り置きしてもらったのはいいのですが
主人が新型インフルエンザにかかりまして(T_T)
来週まで取りにいけません
家庭内隔離でなんとか感染を防ぎ、
来週にはgetしたいと思います(*^_^*)
大貫伸樹さんの『装幀探索』も読書メーターの
読みたい本リストに追加しました♪
by 雉虎堂 (2009-12-17 08:32) 

雉虎堂

田中先生

コメントありがとうございます(*^_^*)
過分なお言葉をいただき身の引き締まる思いです
不肖の弟子ですが、これからも精進しますので
よろしくお願いいたします
一日豆本教室、ぜひ参加したいです
欲を出して丸背にもチャレンジしたくなってきました
あと、『書肆ユリイカの本』を読んで
俄然実物が見たくなってきました
時間のある今のうちに
図書館に見に行ってこようかなと思っています
by 雉虎堂 (2009-12-17 08:46) 

雉虎堂

marimo様

ありがとうございます(*^_^*)
あのハンコの図像が見えるとは
やはり猫好きにはこころのキヨラカな方が多いのですね♪

CDが出始めのころレコード愛好家はこれほどのスピードで
音楽媒体の主流が変わることを予期していたかどうか.....
50年後には町から本屋さんが
姿を消しているんじゃないかなんて心配をしてしまいます
by 雉虎堂 (2009-12-17 09:06) 

雉虎堂

ayafk様

私も『古本屋の女房』は出たときに買って読んでいたのですが
このような形でお会いするとはそのころ夢にも思いませんでした

背表紙ふぇち??本の背表紙がお好きなんですか?
猫好きに、尻尾派、耳派、口の合わせ目派などがいたり
鉄道マニアに、乗り鉄、食い鉄、撮り鉄がいたりするように
本好きにも、背表紙好き、前小口好き、栞好きなどがいるのでしょうかね

そういえば師匠の田中栞さんは、
本屋さんで本を買うともらえるカバー(書皮)のコレクターです(^^ゞ

私は、つい最近まで本は情報を得るための手段でしかなかったので
あえて言えば、「本文好き」というツマラナイ奴ですが
豆本を作り始めて少しずつ「ものとしての本」への愛が
芽生えつつあります(-m-)ムフッ さて、何好きになるのやら....
by 雉虎堂 (2009-12-17 09:23) 

雉虎堂

高田様

実は、私が高田さんのブログにお邪魔するようになったのは
田中先生のブログで高田さんの美しい銅版画蔵書票を見たからなのでした
恐るべし、田中栞人脈(゚Д゚;)

そしてまた高田さんのブログで素敵なもの発見!!
桑原 弘明さん!!す~て~き~♪♪ 
もろにツボです!!
さっそく『スコープ少年の不思議な旅』を読書メーターに登録しました(*^_^*)
by 雉虎堂 (2009-12-17 09:50) 

高田美苗

わぁ、そうだったんですか!!!
繋がっているんですね〜。

桑原弘明さん、本当に凄いです!!!
是非、本物の作品をご覧になってくださいね♪

それから、小さいものがお好きでしたら、「雉猫工房」もおすすめです。
ホームページ:http://homepage3.nifty.com/kijineko54/
ブログ:http://kijineko.blog46.fc2.com/
本当に小さな球体関節の市松人形を創っていらっしゃいます。
いつか、お会いできる時には、本物のお人形をお見せしますね。

リンクにも、小さなものを創っていらっしゃるかたが沢山で、リンクをたどるだけでも楽しいです。
by 高田美苗 (2009-12-17 11:27) 

ヤヨ

す、素晴らしいカリキュラム!!
私もこんなのに参加してみたいです。
でもまずある程度自分でいろいろやってみて
下地を作っておかないと
参加してもちゃんと吸収できなさそうですよね^^;
せめて途中作りの一冊を仕上げちゃわないと(汗)
消しゴムハンコも素敵ですね。
年賀状用になにか作ってみたくなりました。
by ヤヨ (2009-12-17 12:37) 

雉虎堂

高田様

さっそく見てきました~
小さい!球体関節!とどめに工房名が「雉猫」!
あ~手のひらに乗っけてみたいです~(^◇^)
ご紹介ありがとうございますm(_ _)m
by 雉虎堂 (2009-12-17 13:35) 

雉虎堂

ヤヨ様

製本なさるんですか?
ぜひぜひ「モノクロームキャッツ」の美しい写真で
豪華特装版写真集を作ってください!!
きっと猫好きの間で愛蔵版になりますよ(*^_^*)

by 雉虎堂 (2009-12-17 13:39) 

ナカムラ

ご主人さまに「お大事に」を。私の知人も新型にかかってしまうものが出ていますが、皆タミフルで劇的に熱がさがっています。雉虎堂さんのブログで田中栞さんからメッセージいただくとは・・。桑原さんぜひ実物を。凄いですよ。私は椿画廊(だったかな)とスパンアートギャラリーで見ています。それと、ユリイカなんですが、わが住む町・上落合にあったんですね。
by ナカムラ (2009-12-17 23:31) 

田中栞

あらまあ、高田美苗画伯も、こちらのご常連だったとは……。

私は本に関するものには全部フェチ。
栞ひもは、最初に入っていた形を崩さないように「保存」します。
私の周囲には、私のこの類の性癖をご存じの方が多くて、
そういう系のプレゼントをよくもらいます。

たとえば、紐栞の先っちょに紙のマスコットが貼り付けてある洋書を
もらったことがあります。
本の中身はぜんぜんどうでもよくて(というか、理解できない外国語の本だった)、
くれた人も私も話題にさえせず、
そのマスコットつきの栞ひもだけが、つまりは「プレゼント」だったという。

マスコットは確かお酒のボトルの形だった気がしますが、
覚えているのはそれだけで、なんの本だったか、いまだに不明です。
by 田中栞 (2009-12-18 21:27) 

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