祭りの前 [製本・製本キット・道具]
5月末、豆フェス直前にもかかわらず
田中栞先生の一日和本教室に参加しました!\(^_^)/
今回は備忘録としてその模様をまとめます
当日のメニューは
①麻の葉綴じの和本と②綴葉装(てつようそう)の和本と
③この二つを納める帙(ちつ)を作るという豪華三本立て
平綴じの基本、四つ目綴じよりも穴を五つ増やした綴じ方。
丈夫さ狙いというより装飾性を追求したものらしいです
麻の葉というとこんなの↓ですけれども、似てるかな。
グーグルに「麻の葉」と入れると
日本の伝統文様「麻の葉文」が出てきました
そういえば以前こんなもの↓も買っていたんだった
なるほどこの模様には似てるかもしれない(*^_^*)
縫い方が複雑すぎて一人じゃ絶対無理(>_<)
二つ折りにした紙の束(折丁)を折り目のほうで綴じています
縫うときには、両端に針を通した二本の糸を使います
つまり四本の針を操るということ(゚Д゚;)
いやもう、どうしてできたんだか今となっては自分が信じられません。
「神経を疲弊させる実験」のような作業中、
参加者のどなたかが「宮本武蔵の気分」とつぶやきました
ああ、二刀流ね~と思っていると、
講師のT先生が「お箸で虫をつかまえるみたいな?」
とおっしゃったので、私が
「お箸は塚原朴伝じゃないですか?」といらぬ突っ込み
いや、お箸は宮本武蔵であってるんです
塚原朴伝は鍋の蓋でした。まあ、あれだ
日本の武芸者はキッチンツールが好き♡
ということで一つ(^^ゞ
そんなこんなしながらもようやく完成。
綴葉装は最後の折丁の内側で綴じ糸を結ぶ所にも特徴があります。
ああ、こういうふうに処理するなら、もう少し華やかな色の綴じ糸を
使えばよかったかなあ。
『枕草子』の「なまめかしきもの」の章段にある
「薄様(うすやう)の草子、斑濃(むらご)の糸してをかしく綴とぢたる」
というのがどうやら綴葉装のようです
金襴の裂地やら、金砂銀砂の料紙やら、絹糸やらをつかって
華やかに作ったんでしょうね(^m^)♡
帙(ちつ)
広げると一枚の単なる板。単純な構造で簡単そうに見えるでしょ
これがむちゃくちゃ難しい(>_<)
いままで製本に関して習った作業の中で一番難しかったです。
五枚のボール紙は、綴じたとききちんと箱状になるよう、
ちょっとずつサイズを変えなければなりません。
また、綺麗に仕上げるため、ボール紙同士の接するところは
角を落としてあります。
さらに甲馳(こはぜ)とか爪とかよばれる
この綴じるためのものを取り付ける作業
これがまた途方もなく難しかった(^^ゞ
おお、奇跡じゃ(ё_ё;)。サイズぴったり!
底がないのに持ち上げても中の本は落ちません♪
☆────────────────────────────☆
本文紙の化粧裁ちや仮綴じは
ぜんぶ先生がやっておいてくれたわけで
それも勘案すると途方もない大作です。
無事に完成してよかった(^^ゞ
栞先生、T先生、ありがとうございました。
<最近読んだ本>
COCO『今日の早川さん』早川書房
本好きの女の子(?)たちの日常を描く漫画です
電車で隣に座った人が
ピンチョンの『重力の虹』を原書で読んでいてビックリ(ё_ё;)
というエピソードがあるのですが、
私も街で本を読む人を見かけるとかなり気になります
いかにも中間管理職風のおじさんが、涼宮ハルヒを読んでいる隣で
女子高校生が『家畜人ヤプー』を読んでいるのを見た日は
一日ハッピーな気分で過ごせました( ̄▽ ̄)ノ_彡☆
主人公早川さんはSF好き、友達の岩波さんは純文学好きなんてところも
読書家ゴコロをくすぐるのではないでしょうか♪
和綴じって糸目がほんときれいですよね。
あと補修が効きやすいってのもすばらしい。
帙っていらないの捨ててたりしてたけど、
そんな手間かかるもんだったんだ^_^;
今日の早川さん、おもしろそうな本ですねー。
by タッジーマッジー (2010-06-19 21:29)
和綴、すばらしいですね。
社長はチェックですか?
クロちゃん、警戒心が強いです~
by green_blue_sky (2010-06-19 22:48)
>日本の武芸者はキッチンツールが好き♡
そして猫ちゃんは、いつも特等席がお好き。
>「薄様(うすやう)の草子、斑濃(むらご)の糸してをかしく綴とぢたる」
というのがどうやら綴葉装のようです
和とじ本と言うものがいつ頃からあるものなのか考えたことがありませんでしたが、
平安時代にはあったのですね。なるほど、ふんふん。
さいでっか?ほんまに勉強になりまんな。(ただ今関西弁勉強中であります。)
by アヨアン・イゴカー (2010-06-19 22:50)
奥深い世界だな~としみじみ思いました。
帙、これすごいですね!!
>底がないのに持ち上げても中の本は落ちません
確かにそれって凄いことなんだって
改めて気づきました(笑)
by リュカ (2010-06-20 00:55)
☆彡タッジーマッジー様
麻の葉綴じよりもっと複雑な綴じ方もあるようですが
もう、神経衰弱の世界ですよね(^^ゞ
今日の早川さん、おススメです~♪
by 雉虎堂 (2010-06-20 07:15)
☆彡green_blue_skyさま
大きさ比較のために猫社長と一緒に撮影です
差し出せばかならず匂いチェックするので撮影しやすいです
猫社長が私のパジャマを下敷きにしていたので
周囲をぼかしたらなんだか怪しい写真になっちゃいました
by 雉虎堂 (2010-06-20 07:18)
☆彡アヨアン・イゴカーさま
関西弁、勉強しようという意図はないのですが
大阪に本社があるので、あちらの方と話していると
ついつい、うつります。かなり感染力高いです(^^ゞ
by 雉虎堂 (2010-06-20 07:20)
☆彡リュカさま
これを豆本で作ることを考えると気絶しそうです。
でもいつかはやりたいな(^^
by 雉虎堂 (2010-06-20 07:21)
これまた細かい作業の連続ですね!
@日本の武芸者はキッチンツールが好き(爆
言われてみれば、そうですよね~(^^
和綴じって、思ったよりも奥が深いのですね。
お坊様の袈裟のような?重厚な布の表紙♪
これは、豆本サイズではないのですか?
じゅうぶん小さいと思ったのですが・・・
by marimo (2010-06-20 10:08)
☆彡marimoさま
豆本というには少し大きいかもしれません
お坊様の袈裟で爆笑( ̄▽ ̄)ノ_彡☆
言われてみればその通りです
by 雉虎堂 (2010-06-20 11:44)
なんかすごい世界ですね~☆
細かい作業で、頭が痛くなりそーです(^.^)
by 夢空 (2010-06-20 12:15)
綴じ方もいろいろあるんですね〜。すごーい。
麻の葉模様って縁起がいいんですよね??
ちびっ子の無事な成長を願う模様って聞いたことがあるような気がします。
by ます (2010-06-20 14:59)
☆彡夢空さま
とくに、綴葉装の針の通し方と、
帙のボール紙の寸法だしはこんがらがりました(^^ゞ
☆彡ますさま
麻はすくすくと育つ成長の速い木だから
そんな意味合いがあるんでしょうね(^^
by 雉虎堂 (2010-06-20 15:22)
いや~すごい!
何って、塚原卜伝の名前がスラっとでてくる
雉虎堂さんがすごいです!
ゲラゲラ笑わせてもらいました。
帙、私は我流でやって失敗しました。
尊敬です。
私の謡本用の帙を作って欲しいくらいです。
by 藤丸 (2010-06-20 19:53)
☆彡藤丸さま
うちに帰る電車の中で
箸じゃなくて鍋じゃんっ!って
かなり大きな声で独り言をいったら
電車中の人が振り返りました(^^ゞ
by 雉虎堂 (2010-06-20 21:04)
PS
家の外からスカイツリーが見るんだ。うらやましい。
定点写真を撮影してください(^▽^)
by green_blue_sky (2010-06-21 08:20)
和本に収まるのが『五輪書』なのか
『3分間クッキング』なのか気になるところです^^
正義の本?読み始めました^^
by montblanc (2010-06-21 21:20)
☆彡green_blue_skyさま
いつも利用する図書館への散歩道は
ずーっとスカイツリーが見えます
☆彡montblancさま
サンデル先生、8月に日本に来日
公開討論会をするそうですよ
楽しみですね(*^_^*)
by 雉虎堂 (2010-06-21 22:53)
こんにちは。
帙(ちつ)のつくりの厚さが8センチもあるエジプトの写真集を持っています。
持ち上げるだけでも大変なのですが、しっかり作られていて信頼感があります。
やはり手作りでしょうか。
by sig (2010-06-22 17:52)
☆彡sigさま
8センチ(ё_ё;)それはすごい
外国にもこういう作りものもが
あるんですね
by 雉虎堂 (2010-06-22 21:36)
麻の葉の文様、大好きです♪ 魔除けの意味もあるんですよね。
・・・この本、文様切り型・・・こんな風に、切れるんですか? スゴイなぁ。
作ってみたいなぁ。
豆本の雉虎堂さんは、面白い本もお持ちですね~♪
by Inatimy (2010-06-22 22:04)
雉虎堂さん、こんばんは。
エジプトの写真集は日本のものなんです。
布張りの木箱になっていて、蓋は横に開けるんです。
さすがに8センチの厚さの本では見にくいからか、2分冊になっていて、それぞれ立派な布張りの表紙です。重すぎて腱鞘炎の私にはなかなか持ち上げられません。笑
その腱鞘炎のせいで、私のブログ、次回が最終回となります。
雉虎堂さんには、短い期間でしたが、珍しい世界のお話をいろいろ教えていただき、ありがとうございました。
by sig (2010-06-22 23:50)
☆彡Inatimyさま
この本、和紙の折り紙とセットで売ってました
和紙は豆本に使っちゃってますが(^^ゞ
☆彡sigさま
えええ、ブログ最終回(゚Д゚;)
せっかく、楽しいブログでしたのに……
淋しくなっちゃいます
腕がなおったらまたぜひ再開してください~
by 雉虎堂 (2010-06-23 19:42)
うわ〜なんか、より目になってしまいそうな細かい作業ですね☆
お経の本を連想してしまいましたが、、、。
武芸の達人と、和本作りは、近いところにあったのですね。
by nachic (2010-06-25 16:22)
雉虎堂さん、お久しぶりです!
体調は少しずつ整って来ましたが、まだパソコンの画面を見ると頭痛がしてくるので、なかなか更新もままならず…でした。ボチボチ進みま〜す。
豆本フェスタ、お疲れさまでした。楽しかったでしょうね〜♥
この和綴じ、まさしく五輪書でも書かれていそうな雰囲気ですね ^^
あ、それから三島由紀夫が絶賛したという「家畜人ヤプー」私も全刊買って読みましたが、あまりにも吐き気がして…で、売りました^^;
by chako (2010-06-25 18:05)
☆彡nachicさま
中は白い紙なので
何かに使いたい気もしますが
かかった手間を考えると
おいそれとは使えないです(^^ゞ
☆彡chakoさま
豆フェス、スゴイパワーでした
ユザワヤの社長さんが「手作りは無くならない」って
言ってましたけど、本当にそれを実感しました
『家畜人ヤプー』家の中のどこかにはあるはずですが
いまだ読んだことがありません。
語る者が多く読んだ者は少ない本の代表ですよね(^^ゞ
お体、お大事にしてくださいね~
by 雉虎堂 (2010-06-25 18:46)
当日は時間超過して、すみませんでした。
画像を見ると、ちょっと題簽が大きかったですね。
思い起こせば女子高生時代、
クラスメート数名で『家畜人ヤプー』を回し読みしていました。
この本、女子高生ウケする本なのかも知れません。
(確かに、男性にとっては吐き気モノのシーンが続出しますね)
今でこそ「本は買っても中身は読まない」と言われている私ですが、
これは当時、ちゃんと読破したぞ。
by 田中栞 (2010-06-26 02:11)
☆彡田中栞先生
……読んだんですか、ヤプー(゚Д゚;)
それも、本当に女子高生時代に
街で見かけるのはいいんですが
担任の生徒がクラスでそんなの読んでたら
走って逃げますよ~(T_T)
それはともかく、和本堪能しました
ありがとうございました!(*^_^*)
『今日の早川さん』
本好きの生態を上手に描いています
先生には絶対ツボだと思います(^m^)
by 雉虎堂 (2010-06-26 08:45)