日本ホビーショーレポート(1) [美術展レポート]
いかにも初夏らしいさわやかな晴天に恵まれた連休初日
日本ホビーショーに行ってまいりました!
ホビー・クラフトなど手作りに関する日本最大の展示会です。
クラフト、ホビー人口は一千万人?、市場規模一兆円?
こういう数字ってどうやって出すんでしょうねえ(一_一)?
今回、その中の一角で行われた『現代日本豆本作家展』
ちゃっかり、雉虎堂も、展示品だけ出品していたのでございます。
三日間の開催期間中、会場に行くことができたのは
祝日にあたっていた最終日だけです。
一応、ちょこっと販売のお手伝いをしたものの、
あまりお役に立てず終了(>_<)
後半は、会場を好きに見て回ってよしとのことだったので
こころゆくまでこの巨大イベントを堪能できました。
戦利品(1)株式会社呉竹「虹の彩」
布にかけるカラー墨汁だそうです。
濃い色の布でも綺麗に発色。洗濯にも耐えるとのこと。
ホビー産業大賞 経済産業省 製造産業局長賞を
受賞した商品です。私は金色を購入。
試しに傘に絵を描いてみようと思っています(^-^)
戦利品(2)小林製作所製ピンセットB1835-Z
新潟の金属加工会社で、ピンセット、毛抜きなどが専門とのこと
ステンレス鋼で耐食性に優れ、適度な重みがあり手になじみます
ビーズのような細かくつかみにくいものもしっかりつかめる
フラットな先端の精度はこれぞメイドインジャパンの真骨頂
いいものを買いました(*^^)v
戦利品(3)うめずみ折り紙(販売元 福岡工業株式会社)
梅の種って産業廃棄物で、以前は海洋投棄されていたんですね。
法改正でそれが禁止されたので、梅の種を炭にして、それを
パウダー状にして古紙にすきこんだのが梅炭クレープ紙
だそうです。こちらはその折り紙。しっとりと手になじむやさしい
質感と、穏やかな発色に惹かれて購入。
販売ブースではワークショップも開かれていて大変な賑わいでした。
さて、会場の中で目に付いた異色商品をいくつかご紹介
まずは、株式会社アップデイト「車もデコろ♪」
今、女の子たちの間で携帯や手鏡などを、
キラキラしたビーズで飾るのが流行っているのは
知っていましたが、こちらは、車用の樹脂ステッカーパーツ
洗車に耐える強度がありながら、ドライヤーで温めれば
はがすこともできるらしい。これって結構高度な技術では?
女子のキラキラへの欲求ってすごいなあ(゚Д゚)ポカン
東京都 産業労働局長賞受賞商品です。
さらに変わったところでは、木彫用の電動工具も出品されていて
丸太を自在に加工する様に思わず見入ってしまいました
上品なマダムが熱心に仏像彫刻の技法について
質問していました(^^ゞ
さらに、雉虎堂が幻惑された商品がこちら↓
スター電機製造株式会社謹製、家庭用溶接機
アーキュリー80ルナⅡ!!
高圧ガス不用で100V電源があれば大丈夫!
ええええ(゚Д゚;)、溶接って、溶接って、ホビー?
しかし、溶接ワークショップは大盛況!
皆さん、火花よけ(?)のお面かぶって楽しそうに
鉄製の飾りのようなものを作っていました。
ホビー奥が深いわ(^^ゞ
ちょっと感心したのが「老眼鏡」のブースがあったこと
手作りを楽しむ人にとって、老眼は深刻な問題。
商魂たくましいというより、実際ニーズがあるんでしょうね。
超高齢化社会日本のホビー界ならではです。
とか何とかやっているうちに、ショーは閉幕。
外へ出るとこんな美しい夕暮れが広がっていました。
おっと、墨汁と産廃とピンセットと溶接と老眼鏡で
すでにこんなボリュームになってしまった。
豆本はどうした豆本はっ!!Σ(=д=;)ビシッ
というわけで、ホビーショーレポート、次回に続く(^^)/~~~
あいちトリエンナーレ2010 [美術展レポート]
あいちトリエンナーレ2010に行ってまいりました
試験前なので日帰り、ガイドブックも
現地に行ってから買うという無鉄砲な旅です
水玉でお馴染み草間彌生さんの作品。
やっぱり目を引きます。オリジナルグッズも
草間さんデザインのものが多かったのですが
両親へのお土産としてはちょっと刺激が強すぎるかな(^^ゞ
会場の一つ、愛知芸術文化センターの入口に
草間さんデザインのプリウスが展示されていました
別の場所にあった色違いの草間カーは
当日予約で会場移動に乗ることもできたようなのですが
私たちが乗ったのはこちら
二人のりの自転車タクシー「ベロタクシー」
主要会場間を巡回しています。なんと無料!
風を感じながら、ドライバーさんとおしゃべりしながら
楽しく過ごすことができました。これはおススメです。
パンフレットなどについている地図がよそ者には少し分かりにくく(^^ゞ
名古屋市街地に点在する会場を巡るのは、オリエンテーリングの様
i-phoneのGPS機能をフル活用するも、
結局迷って、たまたまそこにあった
ソフトバンクのお店に飛び込んで地図を見せ
「今、私どこにいます?」と聞いたら、
笑いながら教えてくれました。
さすが孫さん、i-phoneのフォロー体制は
万全だ( ̄▽ ̄)ノ_彡☆
会場のいくつかの作品は撮影可
ぜひ、カメラ持参で行ってください。
できれば、撮影の可否がもう少し
分かりやすく表示されているとよかったな
たくさんのアートに触れた一日
視覚と思考と感性のストレッチができました
今なら何を見てもアートに見えます(^-^)
これから行かれる方、靴はとにかく歩きやすいものが
おススメです。私たち二人は一日で
2万8000歩も歩きましたっ!!<( ̄▽ ̄)>
また、靴を脱いであがる展示が結構あったので
脱ぎ履きしやすい靴のほうがよさそうです
強行軍でしたが、お昼には、残暑厳しい中味噌煮込みうどんをすすり
夕飯は帰りの新幹線の中で、味噌カツ弁当を食し
それなりに名古屋を堪能できました(^-^)
新幹線のホームで、「三武将弁当」を発見!
ゴージャスな信長、ひょうたん型の秀吉ときて、
家康は、質素倹約を旨とする三河気質を反映してか
一番ちいさくてお安かったです(^-^)
このお弁当、鯛のてんぷらが入っているなど、
ウィットに富んでいるのですが
家康は鯛のてんぷらに当たって死んだという俗説があるらしいです
「焼き味噌」に関する説明として、家康が「三方ヶ原の戦い」で
武田信玄に大敗した後のエピソードが添えられている
のはやりすぎだよ!! 尾篭な話でごめんなさいm(_ _)m
ま、そんなの読みながらも食べたけどさ( ̄▽ ̄)ノ_彡☆
名古屋城は門の外から鯱鉾だけ見て通過( ̄▽ ̄)
門のところで金目銀目の白猫さんに遭遇しました
門番のおじさんたちに可愛がられている様子で
とっても人懐っこかったです
夢のような一日の後には、現実が押し寄せます
さあ、掃除して、洗濯して、勉強しようっと(>_<)
ムナーリの背表紙 [美術展レポート]
連日30度越えの猛暑が続いております中、
横須賀美術館のブルーノ・ムナーリ展~アートの楽しい見つけ方~
を見に行ってまいりました
グーグルの地図で見るとなんだか”地の果て”感のある
観音崎というところに立っている白亜の美術館です
(地元の方、ごめんなさい(^^ゞ)
建物前面の広い芝生も展示スペースでしかもオーシャンビュー
ってはしゃいでいたら「あれは東京湾だからオーシャンじゃなくてBay」
と、主人にツッこまれました。細かいなあ(-。-)boo-boo-
さて、この日のお目当てはこちら
ムナーリさんはアーティストでデザイナーで絵本作家で
子供の知育おもちゃなんかも手がけたとても幅広い活動をされた方
個性的な本をたくさん作られているので、
それを見にはるばる出かけて行ったのです
展示会は夏休み企画らしく、ただお行儀よく見るだけのものではなく
触ったり、形を自由に変えられたりするものが多く、
子供さん向けの分かりやすい総ルビのキャプションも添えられて
とっても親しみやすい企画展でした。
言葉を覚える前のことどものための絵本は、
柔らかなフェルトのような布を何枚も縫い合わせて本の形になっているもの
穴があいていたり、ふわふわの毛だまがついていたり、
触って触覚を楽しむという不思議な本でした
海の見えるレストランでお食事をして……と思っていたのですが
その入り口で営業中のホットドックスタンドについつい吸い寄せられてしまい(^^ゞ
海を眺めながらウィルキンソンのジンジャーエールとチリドッグでお昼
なんだかものすごくぜいたくをした気分です
というわけで、本日の戦利品はこちら
ブルーノ・ムナーリ『闇の夜に』河出書房新社
トレーシングペーパーのような紙に絵を描いて
透けて下の絵が見えるのを楽しんだり、
こんな風にページの真ん中に大穴があいていたり
とっても楽しい絵本。でもこれ、子供に渡したらすぐに壊しちゃいそう(^^ゞ
もうひとつは、「フォークをコミュニケーションツールにする」という
コンセプトで作られた本。手で会話するのが手話ならこれはさしずめ
「フォーク話」(ё_ё;)
たとえばこれは「OK」だそうで。日本だと「いくら出す?」だけどね(^^ゞ
この本は装幀方法も凝っていて、パピヨンかがりで
かがった本文を背表紙をつけずにそのまま
ビニールのカバーをかけたもの。だから、
背には縫い糸が露出しています。
いうなれば「バックレス装幀」(*^_^*)
私が豆本でやったら手抜きにしか見えないでしょうけれども
ムナーリ先生の本だとおしゃれに見えるから不思議
アートとの自由なかかわり方を提唱したムナーリさんの
幅広い表現の庭を散歩するような一日でした
東京国際ブックフェア [美術展レポート]
本の手帳の締め切り迫る中、東京国際ブックフェアに行ってまいりました。
ブックフェアどころか、ビッグサイト自体がはじめて
話には聞いていたけれども本当に大きい~(゚Д゚)ポカン
今回は半分仕事、
まずは教育ITソリューションEXPOの特別講演を聴きます
ふむふむと感心しながらお話をうかがって、
さあここからが本番、ブックフェアの探検開始です!
いろいろな出版社がブースを出していて、
書籍が大概二割引きになっているようです
お買い得ではあるけれども、豆本と違って
大きな本(じゃなくて普通の大きさの本)は重いから
ここから家まで持って帰ることを考えて、慎重に選びます
作家のサイン会やトークイベントがあったり、ふくびきがあったり、
タイムセールをしていたりするところは、人だかりがしていて近寄れません
人が少ないところをふらふらしていると、
宗教書の出版社で大歓迎されてしまいました
禅宗の出版社では、禅語栞セットをいただきました。これはうれしかった。
こんなコーナーもありました。
美しい装幀、凝った装幀の本が展示されています。
でもどの本もものすごく重かった。
日本の本はいい紙を使っているせいかとにかく重い。
もう少し軽くてもいいように思います。
こちらは書店オリジナルのブックカバー。書皮ともいうそうです
学術書のコーナーは少し空いていて、ゆっくり見て回ることができました
ミネルヴァ書房のおまけは、なんと脂取り紙。
おしいなあ、本の形にデザインすれば、可愛かったのに(*^m^*)
迷いに迷って国書刊行会のSFというマニアックなものを購入
それがまた厚い本で、その上立派な目録もつけてくれて大変な重量感(^^ゞ
そのほかの場所でもさまざまなノベルティをもらって
こんな状態になってしまいました(^^ゞ
ブックフェアの話題の中心はやはり電子書籍でした
教育ITソリューションEXPOのほうでも、
電子教科書やスマートフォンの活用などが
さかんに取り上げられていたようです
時代の趨勢はそちらに向かっているのでしょうか
でもそんだけハイテクな話してるのに
なんで荷物の重さは解決しないんだろうなあ(;一_一)
脱水と荷物の重さでフラフラになりながら帰宅いたしました(^^
コーネルの箱 [美術展レポート]
千葉県佐倉市にある川村記念美術館に行ってきました
DIC(旧大日本インキ化学工業株式会社)が設立した私立美術館です
JR佐倉駅から無料の送迎バスにゆられること20分
田んぼの中にいきなり、西洋のお城のような建物が出現(ё_ё;)
想像を超えるゴージャス感にちょっと尻込みしていると、
フレンドリーなのか警戒中なのかガチョウ氏がお出迎え
ジョセフ・コーネルは割れたグラス、砂、羽、蝶、オルゴール、貝殻など
はかない小さなものが詰められた箱型のオブジェを作るアーティストです
学生時代に夢中になったウィリアム・ギブスンの
サイバーパンクSFに登場する「箱づくり」が
コーネルをイメージしたものだと知っていらい、
気になってはいたのです。でも
当時はあまり詳しいことが分かりませんでした。
思えばあれはウィンドウズ95登場以前だった(^^ゞ
ちょうどよく、日曜美術館のアートシーンで
展覧会の情報をキャッチしたのです(*^_^*)
宇宙空間に作品が浮かんでいるかのような
凝りに凝った展示でコーネルの作品世界に耽溺できました。
高橋睦郎さんの詩とコーネル作品とのコラボレーションも
今回の展示の特徴の一つ
星ホテル
星ホテルで会いましょうって
彼女に言われて探したけれど
そんなの実在しないんすよ
俺、嫌われてるんですかね
コーネル以外にも、ブラック、ブランクーシ、ロスコなどの
作品も所蔵しており、現代美術好きな私には大満足な一日でした
ガチョウ氏に見送られて送迎バスに乗って帰りました。
ミュージアムショップに「星ホテル」の豆ノートが売っていたので購入
こんなのあったらそりゃあ買うでしょ、商売上手よのう( ̄ー ̄)ニヤリ
なんと仮綴じでアンオープンド!
ページが袋状になっていて読めません(゚Д゚;)
ご一緒に特製のペーパーナイフもどうぞって、凝ったデザインの
素敵なのが売っていたのですけれども、お値段も素敵だったので
目を合わせないようにして帰ってきました(^^ゞ
いつか本格的に製本を勉強して、自分で装幀してみたいです
宝くじに当たったら、誰かに製本してもらうのもいいなあ
さて、どっちの確立が高いだろう(^^ゞ
豆本づくりのいろは展 古書といる豆本レポート [美術展レポート]
赤井都さんの「豆本づくりのいろは展 古書といる豆本」見てきました
会場は茅場町の森岡書店という古書店・アートギャラリーなのですが
ここが素敵な場所なんです
nachicさん、タッジーマッジーさん
URLを埋め込むの出来ました。ご教授ありがとうございます(^◇^)
私の写真では伝わらないですが(^^ゞ、戦前に建てられた古いビルは
大正時代の探偵事務所が入っていそうな
「ビルヂング」と表記したくなるようなたたずまい
ここに本当に本屋さんがあるのかな~(・_・;)と
入り口で躊躇していると
中で働いているらしい女性が「三階ですよ」と親切に教えてくれました
エントランスを抜け、踏み込みの浅い階段を上って三階へ
ひんやりとした空気や靴音の響きに建物の重みを感じます
森岡書店の扉をあけると
大きな本の間に隠れるように十数点の豆本が展示されていました
豆本は手にとって見ることができ、写真撮影もOKとのこと
赤井都さんご本人が在廊されていて、解説してくださいました
重厚で洗練された雰囲気が赤井さんの豆本にぴったり
それもそのはず、「豆本づくりのいろは」の美しい写真の撮影場所が
この森岡書店なのだそうです
豆本の下にある平積みされた洋書をふと見れば
あ、ブルーノ・ムナーリだ。いいなあ、欲しいなあ。
この後人とあう約束があったので断念しましたが、
う~ん、買ってきちゃえばよかった(;一_一)
あいにくの空模様でしたが雲の切れ間から時折日差しが差し込み
それがまた室内の豆本たちの表情を微妙に変えてくれます
とろんとした濃密な時間を過ごしていたところ
いきなり後頭部にガツンと衝撃がっ!
低いところに下げられたアンティーク風の金属製のランプのかさに
頭をぶつけてしまいました(゚Д゚;)クワンクワン
わあ、大変だとあわてていたら、画廊の方が
「大丈夫ですか」とおっしゃって下さったのでほっとしました。
私がいる間にも何人かお客さんが見えましたが
私以外にもぶつかった人がいました(^ o ^)=3ホッ
豆本づくりのいろは展はこれで最後ということで
スタンプラリーのご褒美に中原中也の折本をいただきました
赤井先生、ありがとうございました。
さて、丁寧な説明で定評のある「豆本づくりのいろは」ですが
その中でも難しいと思われる
「革表紙のソフトカバー豆本(ロングステッチ)」
ワークショップがあれば出たかったのですが、しばらくはないとのこと
そのかわりにキットが販売されていたので、購入してまいりました
後日作成レポートアップします。さて、うまくできるかな(^◇^)
ひぐらし文庫さんで素敵な本を入手しました。
杉浦貴美子『壁の本』洋泉社 2009年
文字通り、壁の写真集です。ありふれた公団や路地やガード下の壁が
こんなに美しいなんて(T_T) 杉浦さんのサイトはこちら
方法を覚えたのでURLの埋め込みをやってみたくてしょうがないのです(^^ゞ
抽象画のようでありながら、どこまでも具体的。特異な美的体験です。
キャプションには私もよく行く街の名前があって、
自分が世界の美しさに対して無頓着であったことを痛感させられます
写真好きでフォトブログにいくつもお邪魔していますが
行ったことのある街、見たことのある建物、何気ない日常の器物の
美しさや存在感に胸をうたれます。
たとえ同じものを見ても私にはこんな写真は撮れない
と思うような作品ばかり。いったい何が違うんだろ(-。-)?
それはカメラの性能とかテクニックとは別の何かなんだと思います
ちなみに上の写真で本の後ろに写っている壁は
猫社長の爪とぎアート作品です。敷金追徴金がこわい(^^ゞ
豆本図書館見学記 [美術展レポート]
「図書室のある家」に住みたいというのが私の積年の夢です。
その夢を実現した人が、千葉県にいるらしい。
製本教室でご一緒したMさんが見学に行かれるとのこと
私も誘ってくださいました。
千葉県某所にその図書館『愛書館 清宵亭』はあります。
図書館とはいってもあくまで個人の蔵書
開館時間が決まっていたり、HPがあったりするものではありません。
今回は赤井都さんにご紹介をいただき
Mさんが直接館長さんにアポイントを取ってくれました。
自宅の庭(!)に造られた図書館の入口には立派な石碑
中に入れば広大な部屋の壁面がすべて天井までの造りつけ本棚!
この蔵書、量もさることながら、驚くべきはその質で
すべての本にカバーをかけ、タイトルを書き込み
独自の分類法で徹底的に整理してあります。
「誰かが動かすと、たとえ元の場所に戻してあっても分かります」
と、にこやかにおっしゃっていました。
私たちが豆本を造っていると事前にお伝えしたからでしょうか
凝った作りの稀覯本を次々と見せてくださいました
こちらは左右に開く珍しい箱。中央の金属板は箱を閉じても見えます。
立派な洋本ではよく見かける金小口ですがこれは模様入り!(ё_ё;)
白い表紙に金箔押しの題字と宝石が一つ埋め込まれた本
これを見た後、私も光りもののついた豆本が作りたくなって
ついつい浅草橋あたりでビーズを買いこんでしまいました(^^ゞ
コレクションの中でも特に見ごたえがあったのが武井刊本です。
武井刊本とは、童画家、版画家、童話作家の武井武雄さんが
1935年から制作した一連の書籍で、内容はもとより、印刷、
装幀、箱まで含めて一つの作品として作り上げられています。
書物の内容に合わせて実に多彩な素材が用いられていました
中にはパピルスを本文紙として用いるため、
パピルス草の栽培から始めたというものも(ё_ё;)
この武井刊本だけでも数日は楽しめそうだったのですが
さらに膨大な豆本のコレクションが!
中央の棚にあるミニチュアの家具類、これがすべて豆本用の本箱なのです!
豆本は小さいだけに装幀に思うさまこだわることができるため
本当に多彩な姿をしています。
これらは単に美しく見る人を驚かせるだけではなく、本の内容と密接に
かかわっていなければならないのだと下野さんはおっしゃいます。
たとえば一番最後の写真は野坂昭如『火垂るの墓』の豆本なのですが
冷たいホーローの骨壷のイメージが、幼子の死を暗示するというわけです。
こちらは凸版印刷が作った0.95㎜×0.95㎜の豆本『十二支』
世界最小の本としてギネスブックにも載ったそうです
私の写真が下手で分かりにくいですが、ケースの中の白い部分の中央
ぽちっとあるのが豆本で、それを見るためのルーペと拡大された本
がセットになっています。下野さんいわく「これは小さすぎるよね」(笑)
下野さんはとても多彩な方でなんとご自分でも本を造っていらっしゃる!
これは身近な素材で作ったきり絵の絵本。絵がとてもおしゃれでしょう。
ほかにも、お菓子の空き箱や信玄餅の袋(!)などを綺麗に加工した
さまざまな本を造られていて、とても紹介しきれません。
なんと個展を開かれたこともあるとか。びっくりです!
この訪問の前にたまたま読んでいたのが今井田勲さんの『私の稀覯本』
今井田さんは、『ミセス』『銀花』などの雑誌の編集を手がけた方で、
南方からの復員から始まるこの本自体とても面白く
捕虜収容所で人々を元気づけた雑誌の話などは
活字の持つ力を改めて考えさせられました。
が、なんと、この本の中に下野さんのお名前が!
それは下野さんの「ゑぞ・まめほん」収集にまつわるエピソード
大変な苦労のすえ全巻の収集を達成したと思いきや、
中の一巻がページの抜けた落丁本だった。
「誰を恨んでも恨み切れない気分になっていた。」
発行数の少ない豆本はなかなか入手できないようなのです
しばらくしてようやく、その落丁本のかわりを入手できたのだけれど
なんと、その二冊目には、一冊目で抜けていたページが
重複していたそうです(ё_ё;)!!
こちらがその「ゑぞ・まめほん」のなかの一冊です
残念ながら、これがその「双子の豆本」かどうかは
聞きそびれてしまいました(^^ゞ
時間のたつのが早い不思議な場所、不思議な体験でした。
下野さん、本当にありがとうございました。
<後日譚>
後日、お礼状と一緒に私の作った「ひらがなのささやき」全五巻を
お送りしたところ、丁寧にお返事をいただき、「愛蔵します」とのこと。
あの、宝石のような本たちの中に、ちまっと私の豆本もいるかと思うと
なんともウレシハズカシな気分です(^^ゞ
西荻窪豆本散歩 [美術展レポート]
前述の通り、ブログの引っ越しに失敗した結果
雉虎印刷あらため雉虎堂になってしまいましたが
どうやら引き続き豆本ワールドレポートが出来るようになりました
今後とも変わらずごひいきに願いますm(_ _)m
さて先日、西荻窪のGALLERY「みずのそら」に行ってきました。
活版印刷を取り入れた作品をつくる5組のアーティストの展示会です
お目当ては赤井都さんの豆本
赤井さんはアメリカの豆本愛好団体(?)MBS(ミニチュアブックソサエティ)の
コンペティションで日本人で初めて二年連続入賞された方です
最初の受賞作『籠込鳥』は小さな小さな鳥かごの中に、小さな小さな青い本が、
羽のように薄いオーガンジーのリボンでつなぎとめられているという
リリカルなオブジェのような豆本で、残念ながら完売してしまっていますが
今でも赤井さんのHP『言壺』で画像を見ることができます。
『籠込鳥』http://miyako.cool.ne.jp/kototsubo/am3-1.html
会場にあった豆本作品はすべて手に取ってみることができました
どれも信じられないくらい精巧な作りです。
心を奪われると同時にちょっと後悔。こんなのを見ちゃったら作る気なくなりそう。。。
こういうのが手元にあったら、気持ちがささくれたときに
きっと「効く」だろうなと思いながらも、ぐっと、禁欲。
豆本作りをはじめてすぐのころにたてた誓いを思い出します。
自分の作ったものに納得がいくまではほかの人が作った豆本は買わない!
しっかりと細部を目に焼き付けてギャラリーを後にしました
一緒に展示されていたほかの作家さんの作品も素敵でした
またギャラリーの空間自体もとても心地よいところでした
その後、友人の案内で「三月の羊」という不思議なお店へ
ビルの隙間の細い路地、入口に「羊飛び出し注意」の看板(ё_ё;)
お菓子に、パンに、絵本に、雑貨と、小さなお店にさまざまなものがあります
でもそのどれもがなんとなく「ふわふわ」「あったか」な雰囲気で
みているとだんだんにこにこしてきてしまいます。
ふと見ると、絵本のコーナーの一角に、小さな小さな本棚が!あ、豆本だ!
作者は九十九耕一さん。童話作家の方が作られた豆本だそうです。
この豆本は本当にちっちゃい!!!ドールハウスサイズというのでしょうか
2センチ前後なのに、ちゃんと見返しもあるカバー付き角背上製本です
工芸品のような赤井さんの豆本も、
こびとの絵本のような九十九さんの豆本も
どちらも素敵!!やっぱり豆本ワールドは奥が深い!!
というわけで、帰ってくるなり私もいつもよりワンサイズ小さい豆本にトライしてみました!
ふっふっふ、ラミネートフィルムをかけたカバーが雰囲気出てる(^^
なんとなんとバーコードも付いている!次はISBNコードもつけちゃうぞ!!
さすがにこのサイズで上製本は私には無理なので
いつもの「書店カバー式製本」でごまかしちゃいましたけど。
……ごめんなさいm(_ _)m
一日で二人の作家の豆本に出会えるという貴重な体験をしました。
そしてその熱が冷めないうちにわきゃーっと作った豆本に
図らずも自分の「作風」のようなものが見えてきた、カナ?┐(´∀‘)┌
そして、赤井都さんは先ごろ、豆本づくりのノウハウを詰め込んだ
書籍を上梓されました!!
赤井都『豆本づくりのいろは』河出書房新社
私は『言壺』から購入したのでどうやら素敵なおまけがつくようです
近々そのレポートが出来ると思いますので、こうご期待\(^^)/
向島アート展2009 [美術展レポート]
向島アート展2009に行ってきました!
http://mkjart.blog88.fc2.com/blog-entry-6.html
目的地は豆本の展示があるという工房鳩ノ目
地図を持って行ったもののあまり小さくて(ゴメンナサイ)
通り過ぎてしまいました(^^)T
作品はさすがプロ!細部まで緻密な造り込み
まだまだ勉強しなきゃだめだなと思いました
豆本を作り始めた時、
「人様が作ったものは買わない」という誓いをたてました。
買い始めたら止まらなくなりそうで……
でも、現物をみたらとてもかわいくて、やっぱり欲しい~
主人が一緒でなければたぶん買ってしまったと思います
煩悩と戦いつつ帰る途中こんなものを発見
建設途中の東京スカイツリーです
一生懸命造っている人たちには失礼ながら
ブリューゲルの「バベルの塔」を連想しました
小さな本を作るものもいれば
天をつく塔を作るものもいる
どちらも人の業
業という字は「わざ」とも「ごう」とも読めますね
これも物欲を戒めよという啓示でしょうか
余談ながら向島は車の入れないほそい路地が
迷路のように入り組んだ町猫の天国でした
あちこちでお昼寝中の猫たちに迷惑がられながら散策
アート展の会場の一つでもある東向島珈琲店で
おいしい珈琲とパウンドケーキをいただきました
とても充実したおさんぽでした